フライフィッシング
毛ばりで餌をまねる。
フライは毛鈎(けばり)。虫をイミテートしたものですから、それを食べるマスを釣るには最高です。
もともとヨーロッパで、水面に流れる水生昆虫を捕食するマスを何とかして釣ろうと考え出されたのがフライフィッシングのルーツと言われています。あのか細い本物のカゲロウをハリに刺して、水面を流すことは当時としては不可能だったのでしょうね。
この軽い毛鈎を投げるために、あの重量のあるラインを使って(最初は絹イト・シルクラインでした)、上手に振り回して投げるフライキャスティングを考え出した人は、素晴らしいアイディアの持ち主だと思います。
今では情報や技術も改革され、投げやすく、そしてわかりやすい教え方も普及していますから、初心者の入門も楽なものです。
東京都民の川、多摩川にもフライフィッシングが楽しめる場所がたくさんあります。
私は中学生の頃、見よう見まねでやっていましたが、私のフライフィッシングは、北里大学時代から始まったというのが正しいかもしれません。大学2年から岩手県の三陸校舎に移動して、周辺の渓流を釣ったのが、フライらしいフライです。 大学に合格した時に、わが師匠の故・西山徹さんに、プレゼントされたダイワ・ファントムフライで、岩手の川を釣りました。
以後30年。途中でソルトウォーターに夢中になり、ダイビングに夢中になり、しばらくフライから遠ざかった頃もありましたが、その後東京都羽村市に引っ越しして、多摩川周辺や、関東の賢いマスたちを相手にするようになってから、またフライの魅力を思い出しました。
著書、必ず釣れるフライフィッシング(山と渓谷社)の撮影場所は関東地方がメインです。
海外ツアーも経験
プロフィールにも書いてありますが、私はバブル全盛の頃、海外へのフィッシングツアーを催行する旅行会社の企画をしていました。そんなこともあって海外での結構有名な場所でフライフィッシングをする機会も多くありました。スティールヘッド(降海型ニジマス)を狙いにカナダBC州の川にもよく行きました。
しかし、100年に一度の大不況と言われている現在では、特に遠征しなくても十分に楽しいフライフィッシングの場所は国内にたくさんあります。多摩川の項を参照にしてください。サケやマスを釣るために考えられ、進化してきたフライフィッシングですが、コイ科の魚を釣っていても非常に楽しいものです。
フライは難しい??魚との知恵比べ
以前はフライフィッシングをする場所は少なく、そして釣り方も詳しく分かっていなかったので、フライほど難しくてなかなか釣れない釣りはありませんでしたが、今ではフライフィッシングは身近な釣りと言えます。
フォレストスプリングスなど、フライフィッシング対応型のフィッシングパークも数多く作られています。
ですから釣り未経験者にもいきなり「フライフィッシングに行こうよ。」と誘っているほどです。
ただし、フライフィッシングは偽物の毛バリを使うわけですから、それで魚を騙して釣ることを忘れてはなりません。エサ釣りと大きく異なる点はそこです。勝手に向こう(魚)から食いついてきてハリを飲み込んで、ギューンとヒットすることはまずありません。
魚が食いついたのを感じたら、見たら、すかさずロッドを立てて、アワセ(魚の口にハリを掛けること)を行わなくてはならないのです。 賢い魚との知恵比べと言った人もいるほどです。練習と経験を積眼罰もほど上達する「まぐれ」の少ない釣りです。
そして「エサの虫が触れないから。」と言う女性にはぴったりの釣りでもあります。エサはつかいませんからねえ。
初心者でも楽しめる場所が増えました。
フライを自分で巻くこともお勧めです。これをフライタイイングといいますが、フライ製作専用の道具にハリを固定し、マテリアル(材料)を巻く付けていくのです。
自分で巻いたフライに魚が食いつく瞬間を見たら、きっとフライフィッシングのとりこになるでしょう。
身近なフライフィッシング
魚がいなくては釣れません
釣りは1に場所、2に道具、3,4がなくて5に技術と言われています。つまりまず魚がいない場所では釣れないのであります。
それで釣り情報なるものがたくさん飛び交っていて、さかながたくさんいるけど、人もたくさんで混んでいる場所もあれば、あまり釣れないのでほとんど人が行かない場所。あるいは知られざる場所で穴場と呼ぶべきところもあります。
ネットをいろいろ見ていると、多くの方々が、釣り場を紹介していますので、どこで釣ったらいいのかというところで悩むことも少なくなりました。ましてほんの10年前まではほとんどなかったフライフィッシング対応または専用の管理釣り場も、今ではフォレストスプリングスを始め、各地にオープンしています。
●フライフィッシングの5つの要素
・フライフィッシング
・フライタイイング
・フライキャスティング
・リフレッシュ(癒し)
・旅
以前はリフレッシュを自然体験と言っていましたが、旅をすれば自然体験できるのでリフレッシュにしました。
この5つの要素の中でフライならではという、もっとも面白いことはフライキャスティングです。
あの小さな毛鉤を重力の法則に逆らって飛ばすのですから、、、。フライフィッシングが他の釣りと唯一、そして大きく違うことはこのキャスティングだと思います。
そしてこのフライキャスティングは非常に楽しいものだと思います。
練習すればするだけ上達するのもフライキャスティングです。釣りに行くか?練習するか?練習だけでも釣りに行ったのと同じぐらい満足度が高いのもフライキャスティングの特徴です。
まぐれはありません。練習を重ね、そして学んでください。
もし、講習会に参加するなら、ある程度理解できるようになるまでは同じインストラクターから学ぶことをお勧めします。
多くの著名なインストラクターの指導を受け、学ぶことが多すぎて、当惑し、上達が遅れた人を私は多くみています。
もちろん私もキャスティング個人レッスンをしています。お時間のある方はぜひどうぞ。
場所を大別する
海、川、湖、管理釣り場などというカテゴリーに分けられますが、私はさらに下記のように分けています。
野性魚、あるいは野性化した魚を狙う場所
放流魚が多い場所
キャッチ&リリース区間
管理釣り場(ポンドエリア)
海についてはソルトウォーターフライフィッシングの項を参考にしてください。
行けば必ず釣れる管理釣り場で満足してしまう釣り師が多いことは、野性魚の保護にとって非常にいいことです。しかし、野性魚を狙う冒険や夢があってこそ、フライフィッシングが楽しくなるのです。
野性魚を狙う場所は。遠征の秘境と呼ぶべき場所だけではありません。
奥多摩エリアにもそんな場所はあります。簡単には釣れませんが、、、。
大物釣りなら日本の最大の川、利根川が近くにあるじゃないですか。東京からなら日帰りコースです。
そして、日帰りはちょっときついけど、サクラマスが遡上する川、シロザケが遡上する川も射程範囲内にいくつもあります。
上記の要素にある自然体験。それを求めて旅をするのもいいでしょう。
バビーンリバーの項にもありますが、魚を釣りに外国まで遠征するのです。
そこには日本には絶対にあり得ない素晴らしい自然が手つかずのまま、あるいは保護されて残っています。
道具
20cm前後のヤマメを釣る道具と、50cmのニジマスを釣るもの、そして80cmのサケを狙うロッドが同じものであるはずがありません。
硬いロッド、軟らかいロッド、長いロッド、短いロッドなどがあります。
フライの道具はラインの重さで表すことが多く、そのラインを投げるためのロッドが用意されています。
それを例えば「5番」とか「8番」という言い方で表します。英語ですとファイブウエイト(five weight)、エイトウエイト(eight weight)と言います。番号が大きくなるとラインを重くなり、ロッドは硬くなります。
ここでは関東周辺を中心に使う。標準的なタックルを対象魚別に表示します。以前はすべてシングルハンドで釣っていましたが、大型魚を釣るときにはツーハンド、ダブルハンドと呼ばれる両手投げのロッドを使います。
国内の川や湖で釣りをする場合3セットあればほとんどカバーできます。
それは
・8フィート前後の3~4番シングルハンド
ヤマメ・イワナ・ニジマス 何とかオイカワも
・9フィート前後の5~6番シングルハンド
ポンドエリアの管理釣り場、マルタ、コイ、ブラックバスなど。
・13,5フィート前後の7~8番ツーハンド(川でサケ、大型ニジマス、多摩川のナマズなど)
の3セットです。
私とフライフィッシングに行く仲間はみんなこれらを揃えたくなります。
●2番~4番(シングルハンド)
小~中程度の規模の川でヤマメ、イワナなど30cm以下中心の渓流魚を狙う場合。
小さいサイズの放流マスを釣る。
長さ7,5フィート~9フィート
●5~6番(シングルハンド)
中程度の川や大きな川で30cm以上のやや大型マスを狙う場合。
管理釣り場(止水・ポンドタイプ)で釣る場合
多摩川などでうコイを釣る場合。
風の強くない時の湖でマスを釣る時。
長さ8、5フィート~9、5フィート
●8~9番(シングルハンド)
大型ニジマスや、、遡上魚(シロサケ、サクラマス、カラフトマス)を釣るロッド。
湖で風を気にせず遠投してマスを釣るロッド。
海ではシーバスや、サケなど。
遠征ならボーンフィッシュも
長さ9フィート~10フィート
●10~12番(シングルハンド)
夏の相模湾で、シイラやカツオ、メジマグロを狙います。沖縄遠征にも使ます。海外ならターポンも。
長さ9フィート
相模湾でシイラと対戦中。
●8~10番(ダブルハンド)
大きな川で遡上魚→、大型のニジマスやブラウントラウトを釣るのに適しています。
海岸からシーバスを狙ったり、サケを狙うのにもいいロッドです。
ただしロッドが長い分、強風時には振りつらいという欠点も。
長さ13~15フィート
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ダブルハンド、ツーハンド、スペイロッド
両手で投げるロッドを、ダブルハンドロッド、ツーハンドロッドと呼びます。またはスペイロッドを呼ばれます。
以前はシングルハンドと同じようにオーバーヘッドキャストをしていましたが、最近ではスペイキャスト、スカジットキャスト、アンダーハンドキャスト、シューティングスペイなど、バックスペースをほとんど使わない、ロールキャストの進化形のようなキャストで多くの方が釣りをしています。
ロッドのテクノロジーが進化し、シングルハンドですらオーバーヘッドキャストを必要としない時代になっています。
これらのキャストは、ラインを水面に付けてその水面との抵抗で投げるものや太くて短いヘッド部を持ち、水面の抵抗を使わずにその重さで投げるキャストに大きく分けられます。
水面の抵抗を利用するキャストはロッドを大きく曲げて投げるために全体がよく曲がるスローアクション(胴調子)のロッドを使います。
ツーハンドは、もともとバックスペースのない大きな川でサーモンを釣るために進化してきましたが、今では4~6番という非常にライトなタックルもあり、両手で快適に投げ、かつ、川の流芯を大きく超えて反対側を狙えるロッドとして重宝されています。
またスイッチロッドという、片手投げと両手投げ、あるいはロールキャストとオーバーヘッドキャストの両方が可能な10~11フィートぐらいのロッドも出てきました。
いずれにせよ、これらのロッドには、適正な重さのあるラインが必要です。うまく重量が合うととてもよく飛ぶロッドなのですが、慣れないと重さが合わせられませんので、最初は講習会などに参加してさまざまなラインを通して振らせてもらい、重さを合わせてもらってからラインを購入するのがいいでしょう。
最初に揃えるべきロッドとは(万能竿は5番)
なんでも釣れる万能竿というなんでも釣れるロッドはありませんか?とよく聞かれます。しかし前述の通り、釣る魚の大きさに合わせてタックルを選ぶべきです。
で すから最初にどんな魚を釣りたいかを考えてからロッドを準備したいものです。
しかし何を釣っていいのかわからないという方もいます。
当たり前ですね。
そこで私は8,5フィート~9フィートのロッドを最初の1本とすることをお勧めします。
万能竿は5番ロッドです。
ラインにそこそこの重量があるため、キャスティングが楽しくできて、20cmぐらいのニジマスやヤマメから、70cmを超えるイトウまで釣ることができるロッドです。
初心者の女性が5番ロッドでニジマスを連発した開成水辺フォレストスプリングス
男性や腕が強い方なら6番ロッドをお勧めします。
渓流のフライフィッシングを目指す方は将来2~3番を多用することになりますが、そうなったときでもキャスティング練習するときはこれらのロッドがいいので、最初はぜひ5~6番をどうぞ。
6番ロッドで釣った裏磐梯フォレストスプリングスのブラウントラウト。
6番ロッドで大物と戦うこともできます。
前述しましたが、フライは毛鉤を魚にエサだと思わせ、騙して釣るのです。
ですから
マグレはありません。
騙されてくれれば演出したアナタの勝ちです。
時に、賢く、スレッカラシになった
魚との知恵比べになります。
頑張ってください。