ソルトウォーターゲーム
オフショア(沖合)ゲーム その1
それはパラオのロウニンアジから始まった
パラオは日本から真南に南下し北緯7度。時差がないので助かります。
人生初のヒラアジはパラオのカープアイランド沖のカスミアジ。コーデル・ペンシルポッパーが懐かしい。
水中写真を撮りたくなるきれいな海と魚体。
フィッシュ&フィンズのコーナーでも書きましたが、パラオでハマったソルトゲーム。これを身近に、と考えたとき、相模湾のシイラが思い浮かんだのです。
若き女性がチャレンジできる。そんな場所が相模湾にあった。
当時から乗合船はありましたが、オフショアゲームはまだ始まったばかりでした。乗合船では自由が利かないということで、適当な船を探していたら、サンスイという釣り具専門店の稲垣実さんが、「いい船がありますよ」と教えてくれました。
そこは
「だお~!」という方言が強烈な長井の港でした。
もともとカツオ漁師ですから、船は散水機付き、撒き餌のイワシ付きです。
個性が強く、怖そうに見える船長は、私たちよりも早く港を出てイワシを仕込んで来てくれるのです。
それさえあれば無敵。群れに遭遇したとき、ルアーに食い付かない魚を釣るのには、エサ釣り(ライブベイトフィッシングと言えばカッコいい)はもってこいのスタイルでした。
ライトタックルという20ポンド以下のスピニングで十分楽しめるカツオ釣り。
「絶対にルアーじゃなきゃイヤ」という仲間はルアーを投げ続けますが、私はとくにカツオやマグロの群れに遭遇した際に、遠慮なくエサ釣りをしますし、初心者に釣らせるには餌が一番です。
ルアーのリーダーを切って、そこへハリ(がまかつタマンスペシャル16号、管付伊勢尼14号など)を結び、スピニングのベイルをフリーにしてから活きたイワシをつけて群れに中へポイッ。
すぐにラインがパラパラパラッ、、、と出ていき、ベイルを戻すとギューン。
掛ったら引き寄せるのはルアーと一緒です。
また私たちはフライフィッシングもするので、船の近くに魚を寄せるこの撒き餌と散水機は重要です。
フライは道具が違うだけで、漁師の一本釣り(現地ではタタキと呼ばれる)と同じ原理です。散水機のシャワーは、水面で泡を立てるので、その中にフライを泳がせれば、目の良い回遊魚をごまかすことができるのです。
もし散水機がなければフライフィッシングがこんなに身近にならなかったでしょう。
この日のために高番手のフライロッドを揃えてしまう。
7月中旬からシイラ、9月はカツオ、10月以降はメジと大体のシーズンは決まっていましたが、最近では7月からいきなりキハダが現れたり、それもメジサイズではなく、30kgオーバーが釣れたりして大騒ぎ、地球温暖化被害を被っている地域の方には申し訳ないのですが、それは相模湾をいい漁場にしてくれています。
30kのキハダの取り込み。マグロが浮き上がってくるシーンは美しいの一言に尽きる。 30kgを超えたキハダが回遊した年もあった(2008年)
またこのシステムはファミリーフィッシングでの大物釣りを可能にしてくれました。船代がけっこうするのでお手軽ではありませんが、家族以外はフィッシュ&フィンズのメンバーが同乗します。乗合船と異なり、乗船メンバーはみんな仲間。ですから大物が掛ったらロッドを上げて釣りを中止し、見守ってくれます。
指導者さえいれば、チャンスを逃さなければ初心者でもこんなマグロをキャッチできる。
我が家では、家内も(結婚前から)、2人の息子たち(幼稚園年長から)も船に乗り、このシステムで1mを超えるシイラや、大物マグロなどを釣っています。そして今、初心者や若き女性たちも、適切な指導さえしてあげれば、マグロやカツオ、そしてシイラを身近で釣る事が出来るのです。
今では船長たちの2代目が育ち、ルアーやフライのゲームを理解し、かつ遊漁船と言うサービス業に徹してくれる快適な船も増えています。時の流れなのでしょう。昔ながらの怖い船長古い船、トイレなどの設備が整っていない船は、人気がなくなってきているようです。
喜びをチーム全体で分かち合うと言う幸せ。
ここまで書いておいて言うのもナンですが、もちろん釣れない時もあります。
魚はいるけどまったくハリに掛かってくれない。
群れが突然いなくなった。
掛かったけど全部切られた。
さあ今からという時合が来たときには帰港時間になった。
海が大荒れで出港できなかった。
海はナギでも魚がまったく見つからず半日クルージングで終わった。
などということがたまにあります。
それでも行き続ければ魚は掛かります。
だってわが家族にも幸せをもたらしてくれているのですから。
沖縄パヤオのマグロ釣り
沖縄ではパヤオという浮漁礁が沖合いにいくつも設置されています。与那国島、石垣島、宮古島、有名なのは久米島、そして沖縄本当にもパヤオは多くあります。
ここでは冷凍キビナゴなどを撒いてマグロ(キハダ、メバチが主)を浮かせます。この方法も実はスペインのカナリア地方で生まれた飼い付け漁という方法と同じです。
コマセの味を占めたマグロは、撒き餌をする船のエンジン音を覚えるとも言われています。浮き上がってキビナゴを捕食するマグロを釣るには、それそっくりのフライを使います。つまり魚を見てから釣る訳で、エサは自然のものではありませんが、カゲロウにライズするマスを釣るのと原理はまったく同じなのです。
相手がマグロですから掛かれば当然引きは強いです。その引きに対処すべく、タックルの選定、そしてそのパワーに翻弄されないだけの技術が必要になるます。
「なーんだ。簡単じゃないか?」と思われる方はぜひ一度挑戦してください。
このクラスならパヤオに行けばたくさんいる(本当)
私の場合、掛かった魚の引きもさることながら、船べりでバシュッと水しぶきを上げてキビナゴを捕食するマグロの姿を見ただけで感動してしまいます。時に生簀状態になることもありますからその情景は壮観です。
「オレが漁師を始めた頃に比べると、目に見えて魚が少なくなっている。」と漢那の海人(ウミンチュ)、仲栄真盛勇さんが言ってました。海人とは沖縄の方言で漁師のことです。
昭和41年生まれ、漁師歴22年の彼は、沖縄でさえ資源は減ってきているとを懸念しています。大きい魚も数も年々減り、それは概ね当時の半分以下らしいです。
私たちが釣りに行く場合、それは完全なる遊びですが、その遊びのエリアで生計を立てている漁師の言葉は、妙に心に響いてしまいます。
漢那は沖縄本島中央の宜野座村にあります。宜野座村の面積の約半分を米軍の演習場キャンプハンセンが占めていますが、海辺は太平洋側に面した静かな場所です。
宜野座の漁業の基地にもなっている漢那港を初めて見たときは、白い港と言う印象を受けました港の両脇にはまぶしいほどの白い砂浜があり、それが港を包み込んでいるようです。漁協の氷庫も真っ白に塗られています。
リゾートホテルのプライベートビーチとはまったく異なった趣を呈している漢那ビーチには、県外、つまり本土からの客はほとんどなく、那覇など沖縄の都市から海水浴にくる人がある程度だそうです。
そんな沖縄の田舎へ我々は釣りに行くんです。仲栄真さんの愛艇「海勇丸」でマグロやシイラを狙いに。
マグロを釣る漢那の海人は遊漁(お客さんを乗せて釣りに行く)をやらない人がほとんどですが、彼はそれを引きうけています。なぜなら仲栄真さんは魚を獲るだけではなく、ロッドとリールを使ったゲームとしての釣りも大好きだからです。
漁師なのに趣味が釣り。この変な漁師は休みを利用して九州まで磯釣りに出かけることもあるそうです。
実は今、彼が取り組んでいるのは、自分の釣った大物を記録に残すこと。そしてガイドしたお客さんに日本記録魚を釣らせることなのです。私たちの仲間も、海勇丸で数多くに日本記録を釣らせていただきました。
女の子でもほらこの通り。しかしこのサイズになると結構な体力と技術も必要。このキハダはジャパンゲームフィッシュ協会の公認日本記録(8kgクラス女性)。素晴らしい。シイラを釣る道具ですよ!!
釣りのギネス 国際ゲームフィッシュ協会とジャパンゲームフィッシュ協会
釣りにもギネスと同じく、記録を公認する機関があります。
IGFA(国際ゲームフィッシュ協会)が「釣りのギネス」と呼ぶべき機関です。IGFAは釣れれば何でもOKではなくて、釣りにルールを設けいます。
そのルールの基本的な発想は、釣りをスポーツとしてアングラー(釣り人)が魚と戦う時、フェアでなければならないというもの。
例を挙げると、魚とは他人の助けなどを借りず、一人で戦わなくてはいけません。ロッドを竿掛けに入れたままのファイトも助けられながらだからダメ。
引きが強いからといって他人がロッドを支えるのは反則。アワセから取り込みまで、例えそれが長時間に及んでも、ずっと一人でやらなければなりません。ただしリーダーをつかみ、ネットやギャフは他人が行なってもよいことになっています。
このIGFAの日本のパートナーがNPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会です。IGFAの支部ではありませんが、ポリシーを同じくし、同じルールで日本国内で釣られた魚の日本記録を公認する機関として有名です。
そして日本国内で世界記録に相当する魚が釣られた場合、IGFAへの取り次ぎもしています。
JGFAは単なる記録公認機関ではありません。
「いい釣りいつまでも」とスローガンを掲げ、日本の釣り環境をよくするための活動を行っています。
私たちのクラブ「フィッシュ&フィンズ」はJGFAに加盟しています。
相模湾で釣ったクロマグロの日本記録認定証。
上の認定証をゲットしたクロマグロ。ポッパーにドバッと出ました。
ソルトウォーターゲーム その2
ルアーでなくてもフライでなくても、ソルトゲームはとっても楽しいものです。
ファミリーチャーターして相模湾を楽しむと言うこと
こんな可愛い頃もありました。
ソルトウォーターゲームのコーナーでも書きましたが、相模湾のオフショアゲームは家族でも楽しんでいます。
特に息子たちにこの釣りを経験させることは、親としての誇りです。長男も、次男も幼稚園年長の時から船に乗ってます。
「酔わない。」 これは得だと思います。
海上でいい出会い、トビウオが飛ぶ、クジラが背中を出す、シイラの群れに遭遇する、サメが背びれを出している、などなど日常生活ではあり得ないこと、そしてそれはべつに家族でなくても十分に感動することですが、家族と一緒に味わうことによって、お父さんしか知らない感動体験が共有され、食卓で交わされるのです。
そしてメーターオーバーの魚に出会うもっとも身近な釣りでもあります。
生きているマグロの姿を見る機会を子供たちに与えるいい釣りです。クラスメイトでそんな生徒がいますか? 自慢していいと思いますよ。
相模湾ではこのクラスのキメジが回遊する年もある。
このキメジは5,8kg。長男が中1のときに釣ったキメジは7.2kgだった。これも相模湾。
エサ釣りができることが長井の漁船をチャーターする意義でもあります。このシステムはファミリーフィッシングでの大物釣りを可能にしてくれました。
家族以外にも友人は誘いますが、他人ばかりの乗合船と異なりメンバーはみんないい仲間。
ですから子供たちに大物が掛ったらロッドを上げて釣りを中止し、見守ってくれます。
長男(当時中2)のキハダは40分のファイトの後、尻尾をサメにやられた。しかし20kgあった。とっても美味しかった。
2008年に回遊した巨大キハダも長男と一緒に楽しみました。
残念ながら長男の魚はヒットしてから40分後にサメに尻尾をかじられて上がってきましたが、それでも20kg。トロや背中の赤身は残っていましたので、さばいて美味しく頂きました。
長男が「お父さん、サメにやられてよかったよ。」とあとでぼそっと言いました。何を消極的なと思ったので
「どうして?」と問うと
「もし、やられてなかったら、ラインを切られていたかも知れないし、切られなかったとしても上げるまでもっと時間が掛かって、待っていてくれたみんなに迷惑がかかったかもしれないから。」
成長した長男を見て感無量の親バカなのでありました。
家内が相模湾で釣った13,2kgのシイラ。JGFAの女性8kgテストライン公認日本記録に認定されました。
次男も小4でキメジ。これはまったく手伝うことなく、エサ付け、アワセ、ファイトを自力で行った成果。
旅行先でのドラマ
そして2010年3月末、家族旅行で沖縄へ行った際に漁船をチャーターしてパヤオに出ました。
この道具。そうです。カジキが長男にヒットしたのです。
とてもリリースできるような状態では取り込めなかったので、ギャフとモリを打って港に持ち帰りました。
とっても良い家族旅行になりました。
しかし長男はこの後、部活にのめり込んでほとんど釣りをしていません。
2014年5月現在、長男大学1年、次男高校1年で二人とも部活三昧です。(泣)